京都の街を歩きながら、町の歴史や建築、人々の暮らしをたどるマガジン。第二弾となる今回は、自然と文化が共存する岡崎エリアをご紹介。
京都の中心部から少し東へ。東山を背景に、平安神宮の大鳥居や美術館、コンサートホールが点在し、観光地として知られる岡崎だが、この街には京都の中心部とは少し違うおおらかな空気が流れている。
視界の先には東山があり、街の間には琵琶湖疎水が流れている。空が広く、緑も多い。そうした景色の余白が、岡崎独特の緩やかな空気感をつくっている。朝晩には犬を散歩する人や、疏水沿いを走る人の姿も。休日になると岡崎公園ではマーケットが開かれ、コーヒーやパンを片手に芝生で過ごす人も多い。



・ 京都の文化が集まる場所
岡崎エリアには文化的な施設が集まっている。
京都市京セラ美術館、京都国立近代美術館、ロームシアター京都、京都府立図書館など。いつも何かしらの展覧会や催事が行われており、イベントがある週末には、京都市内外から多くの人が訪れる。京都でもこれほど文化施設がまとまっているエリアは珍しい。
美術館へ展覧会を見に行ったり、図書館へ本を借りに立ち寄ったり、ロームシアターで舞台を観たり。そんな少し特別な時間が、日々の暮らしのすぐそばにあることも、岡崎に住む楽しさのひとつだ。


・前川國男の思いを引き継ぐ:ロームシアター
なかでも、建築好きなら一度立ち止まって眺めてほしいのが、ロームシアター京都。
現在の建物の原型となった京都会館は、1960年に建築家・前川國男の設計で完成した。水平に大きく伸びる庇や、コンクリートの柱、その奥に広がるピロティ。東山を背景にした岡崎の景色を遮るのではなく、街に対して低く、横へと広がるようにつくられている。
2016年のリニューアルでも、その意匠をできるだけ受け継ぎながら、新しい劇場として再生された。二条通から中庭を抜け、冷泉通へとつながる空間も整えられ、劇場を利用しない日でも人が立ち寄れる場所になっている。
公演を見るためだけの建物ではなく、カフェで過ごしたり、中庭を抜けたり、岡崎公園から冷泉通へ歩く途中に自然と入り込める。



京都の中心部からそれほど遠くないが、中心部とは少し違う開けた景色が広がっている岡崎エリア。東山を眺め、疏水の水辺を歩き、気が向けば美術館へ。帰りにはパンを買ったり、ワインショップに立ち寄ったりする。
京都の便利さを手放すことなく、もう少しゆったりとした時間の中で暮らしたい。そんな人にとって、岡崎はとても心地のよい街だろう。



